ECサイトの運営において、年間の販促カレンダーを意識することは非常に重要となります。国内向けであればある程度セールや祝日の時期、年間イベントの時期が分かりますが、国が違うと祝日や年間イベントの時期も異なります。
アメリカ向け輸出を行なうに当たって重要となっていくるEC用の年間販促・イベント及び、セールを設定しやすい連邦政府の祝日を月別にまとめています。
1月のアメリカ向けショッピングカレンダー
・New Year’s Day: 1月1日(元旦)
元旦はアメリカ連邦政府の祝日です。新年と言うことで、年末からの「Year End Sale」と合わせて、「New Year Sale」が行なわれることが多いです。
ただ日本と違い、アメリカは1月2日からは通常営業という企業も多いため、年末年始の休暇という感じは弱いです。それでも、年が明けてから1週間ぐらいは、新年セールなどを行なうことを考えても良いでしょう。
・Martin Luther King Jr. Day: 1月の第3月曜日(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デー、キング牧師記念日)
キング牧師の誕生日を記念する連邦政府の祝日です。キング牧師の誕生日は1月15日ですが、アメリカでは多くの祝日を月曜日に統一する「月曜休日統一法」により、毎年1月の第3月曜日に設定されています。
セールの日というイメージが強い祝日ではありませんが、記念したセールが行なわれることも多いです。また冬物の服などは、この頃にセールを行なっても良いでしょう。
2月のアメリカ向けショッピングカレンダー
・Chinese New Year: 2月もしくは1月(旧正月)
Lunar New Yearとも言いますが、アメリカでは、Chinese New Yearの呼び名の方が通っているのではないかとは思われます。旧正月のことで、年によって日付は違うのですが、中国では大きな連休として知られています。
中華系の人口が増えているアメリカでも、特に中華系住民が多い地域では大きなお祝いをすることも多く、そういった層がターゲットに含まれる場合は、いわゆる新年セールに当たるイベントを行ないます。また干支を使ったイベントも組み込むことが出来ます。
・Super Bowl Sunday: 2月上旬(スーパーボウル・サンデー)
スーパーボウルは、アメリカンフットボールのプロリーグNFLの決勝戦のことで、アメリカでは最大のスポーツイベントです。全米でテレビの中継に熱狂する人たちが多数おり、毎年年間最高視聴率も記録しています。
お祭り騒ぎの日であるため、スポーツ用品に限らず、この日に合わせてセールを行なうショップも多くあります。なお、「Super Bowl」「Super Sunday」という言葉はNFLが商標登録しているため、使用には注意が必要です。
・Valentine’s Day: 2月14日(バレンタインデー)
バレンタインデーは元々キリスト教圏で行なわれていたお祝いです。夫婦や恋人、親しい人たちが互いにプレゼントを贈る日として知られています。
日本では女性から男性にチョコレートをあげる日、というイメージもありますが、これはあくまで日本独特の習慣で、アメリカではその様な事はありません。もちろん、チョコレートを贈ることはありますが、男性も普通にプレゼントをあげます。そういった意味では、ホワイトデーのような習慣もアメリカにはありません。
・Presidents Day: 2月の第3月曜日(プレジデントデー)
アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンの誕生日(2月22日)を祝う、連邦政府の祝日です。なお、誕生日が近い(2月12月)エイブラハム・リンカーンの誕生日を同時に祝うこともあります。
誕生日を祝う祝日と言うことで、贈り物などを商材にして、プレジデントデー・セールとして行なうのも良いでしょう。
3・4月のアメリカ向けショッピングカレンダー
・St. Patrick’s Day: 3月17日(セント・パトリックスデー、聖パトリックの祝日)
アイルランドの祝日でアイルランド系(アイリッシュ)の人たちがお祝いする「緑の日」として知られています。
祝日ではなく、知名度もあまり高くはありませんが、アイルランド系の先祖を持つ人たちも多いアメリカでは、地域によってはパレードが行なわれるなど、比較的知られた日ではあります。この日を記念するものとしては世界最大となるパレードも、ニューヨークで行なわれています。
3月は暖かくなり始めてアウトドア商品や春物も増えてくる時期ですが、あまり大きな祝日などが無いため、この日に合わせてセールを行なうショップも少なくはありません。
・Oscar Night: 2月か3月(オスカー・ナイト、アカデミー賞授賞式)
アカデミー賞はアメリカ最大の映画賞であり、オスカーの名前でも知られています。授賞式は通常、2月下旬~3月上旬に行なわれていますが、その日は「オスカーナイト」ととして、映画の話題が大いに盛り上がります。
特にセールの日というわけではありませんが、最近ではSNSでの盛り上がりもあるため、映画やエンタメ関連の商材がある場合などは、アカデミー賞の発表に合わせてキャンペーンを行なうことも多いです。
・Easter: 3月か4月(イースター、復活祭)
イースターは、クリスマスと並ぶキリスト教の重要なお祝いの日です。日付は年によって異なり多くの場合は4月ですが、3月になる事もあります。
アメリカでは、イースターを祝う人たちも多くおり、そういたお祝い向けの用品は特にイースター前が販売時期となります。以前はクリスマスのような商業的なイメージは弱かったのですが、近年ではこのイースターの時期に合わせて、春のセールを行なうことも多くなっております。
ただ年によって日付が違うため、いつになるかによってセール商品の内容は異なるかも知れません。
5月のアメリカ向けショッピングカレンダー
・Mother’s Day: 5月の第2日曜日(マザーズデー、母の日)
アメリカでの母の日の起源は100年以上前にさかのぼるなど、長い歴史を持ちます。日本と同様、「母の日ギフト」は大きなショッピング機会となります。関連して、アクセサリーや香水、衣料など女性物の商品や、ギフト用品も商機となっています。
なお、国によって母の日がいつ行なわれるかは違いがあるため、ターゲットにする国や商材によっては事前に調査する必要があります。
・Memorial Day: 5月の最終月曜日(メモリアルデー、戦没将兵追悼記念日)
連邦政府の祝日で、毎年5月の最終月曜日となっています。アメリカでは夏の始まりを意識する日でもあり、この連休に外出する人も多くいます。またアメリカの学校では、6月から夏休みになるため、このメモリアルデーを境に夏休みシーズンともなります。
メモリアルデーに合わせたセールも良く行なわれます。夏の行楽やアウトドアに向けた商品、夏休みに向けた商品などのプロモーションにも適しています。ただ、記念日が元々戦没者を追悼する日であると言うこともあり、プロモーションやセールを行なう場合は、その内容やデザインなどには気を遣う必要はあります。
6月のアメリカ向けショッピングカレンダー
・Father’s Day: 6月の第3日曜日(ファーザーズデー、父の日)
父の日は、母の日と同様、アメリカでの起源は100年以上さかのぼる歴史ある日ではあります。母の日ほどの知名度は無いものの、「父の日ギフト」は大きな商機となります。
父の日向け商材としては、時計や財布、靴などの男性向けアクセサリーや、日曜大工用の工具なども人気があります。母の日同様、国によっては日付が違うため、ターゲットにする国によっては注意する必要があります。
7月のアメリカ向けショッピングカレンダー
・Independence Day: 7月4日(インディペンデンスデー、独立記念日)
連邦政府の祝日であり、Fourth of Julyの呼び名でも知られています。アメリカでは最大の祝日の1つとなり、各地でお祭りが行なわれ、祝祭モードとなる日です。
この日に合わせて多くのセールが行なわれます。他の祝日の多くが月曜日に移動しているのに対して毎年日付が変わらないことから、週間を通してセールを行なうことも良く見られるパターンです。
またいわゆる「愛国心」的な商品が良く売れる時期ではあるため、国旗など「アメリカ」を意識した商品をテーマに据えてプロモーションを行なうことも、ポイントになるかも知れません。
・Amazon Prime Day: 7月中旬(アマゾン・プライムデー)
Amazon Prime Dayは、アマゾンにおける1年でも最大級のセールの日です。最近は日本でも知名度が高まっていますが、アメリカにおいては、日本以上にこのセールの認知度は高いため、Amazon以外のECサイトもこの期間に合わせてセールを開催したりします。
新型コロナウイルスの影響を受けたこともありましたが、通常は7月中旬に開催されています。必ずしも合わせてセールを行なう必要はありませんが、AmazonがいつPrime Dayを開催するかは、注目しておいても良いでしょう。また自社サイトと合わせてAmazonにも出品しているのであれば、連動した企画も考えられます。
8月のアメリカ向けショッピングカレンダー
・Back to School: 8月下旬(バック・トゥ・スクール)
日本では4月が新学年の時期ですが、アメリカでは、9月がその時期となります。新学期も8月下旬~9月上旬に始まることがほとんどのため、主に8月下旬には、「Back to School」セールとして、学校向け用品のセールを行なうことが通例です。
小~大学生まで幅広い年代がターゲットになるため、ノートや筆記用具と言った文房具類から、テキストブックなどの書籍、タブレットやノートパソコンなどの電子機器類まで、セールの対象カテゴリも多くなります。大手のECサイトなどでもこの時期はセールを開催することが多いです。
また後述のTax Holidayと合わせて、ショッピングの時期としても認識されています。
・Sales Tax Holiday: 7月~8月(セールスタックス・ホリデー)
アメリカでは州によって消費税の税率や有無が異なりますが、その消費税が一部の商品に限り免税となる期間です。州によって時期が異なるのですが、多くの場合は、新学期に対する支援の意味合いも込めているため、Back to Schoolの時期に合わせて行なわれています。そのため、8月の数日間に行なわれることが多いです。
かつてほど参加している州は多くなくなっていますが、一部の地域ではショッピングの時期として認識されており、毎年開催時期には一定の注目が集まっています。対象地域の実店舗が恩恵を受ける期間ではありますが、オンラインショッピングサイトの一部も、このTax Holidayに合わせてセールを開催することもあります。
9月のアメリカ向けショッピングカレンダー
・Labor Day: 9月の第1月曜日(レイバーデー、労働者の日)
連邦政府の祝日です。日本で言えば「メーデー」に当たる日ですが、アメリカではこの日は「夏の終わり」を意識する日となります。多くの学校では夏休みの最後の連休ともなるため、外出して遊びに行く人も多いです。
秋物の準備を意識する日でもありるため、そういった商品も含めて、小売店ではセール時期の1つとなっています。Back to Schoolセールで売れ残った商品も、この時期に再びセールを開催して売り切っても良いでしょう。
・Apple Event: 9月(アップルの新製品発表)
Appleは毎年9月に新製品の発表を行なっています。新型iPhoneやiPadなどもこの時期に発表されるため、スマホケースなどApple対象製品を販売している場合は、意識する日となります。
またこれと関連して、10月にはiPhoneなどの旧型モデルは値下がりすることも多いため、Apple関連商品を購入する人はその時期を狙っている場合もあります。
10月のアメリカ向けショッピングカレンダー
・Columbus Day: 10月の第2月曜日(コロンバスデー)
連邦政府の祝日です。コロンブスのアメリカ発見を祝う祝日ですが、近年では多様性を反映し、Indigenous Peoples’ Day等と呼ぶ場合もあり、アメリカでも州によって扱いが違ったりもします。
小売店にとってはLabor Dayからあまり日がたっておらず、また、最大のショッピングイベントであるBlack Fridayも近づいてくることから、必ずしも強く意識される日ではありませんが、セールを開催するショップも少なくはありません。また消費者もこれから続くセールの時期を意識させる日ではあります。
ただ前述の通り、近年はこの日の呼び名も含めて変化の雰囲気も出てきているため、それに合わせてキャンペーンを辞める小売店も出てきています。
・Halloween: 10月31日(ハロウィン)
近年は日本でも盛り上がってきてハロウィンですが、アメリカでは仮装パレードも多く開かれるなど、一大イベントの日となっています。
ショッピングの日というイメージではありませんが、ハロウィン関連用品は、この時期の前に売れていき、最後に残った物はハロウィンの日にセールで売り切ることもあります。また、SNSでもハロウィンに合わせたキャンペーンを行なうブランドは多く、そういったプロモーションを考えても良いでしょう。
11月のアメリカ向けショッピングカレンダー
・Veterans Day: 11月11日(ベテランズデー、復員軍人の日)
連邦政府の祝日です。アメリカでは数少ない日付固定の祝日ではありますが、記念日のイメージが強い日であるため、セールス的なプロモーションを行なう場合は、その内容に注意が必要です。
・Thanksgiving Day: 11月の第4木曜日(サンクスギビングデー、感謝祭)
連邦政府の祝日です。アメリカではこの時期からホリデーシーズンに入っていきます。この日から続くBlack FirdayやCyber Mondayと合わせて、1年でも最大規模のセールの日となります。多くの学校でもサンクスギビングデーからは4連休となることもあり、大人数でパーティーを開くことも多い時期です。
サンクスギビングデーの日自体は家族や友人で集まってお祝いすることも多いため、小売店としては、翌日のBlack Fridayが一番の商機となります。もちろん、サンクスギビングデーに合わせたセールを開催すること多くあります。「感謝祭」ということで、顧客に感謝する日とする小売店も多くなります。
・Black Friday: 11月第4木曜日の翌日の金曜日(ブラック・フライデー)
アメリカでは祝日では無いものの、感謝祭の日から4連休となることが一般的なため、この日は伝統的に休みの日となります。元々は感謝祭でのプレゼントの売れ残りが一斉にセールとなる事で、小売店の売上げが急増する日という事で知られており、「黒字の日」ということでこの名前が付いたと言われています。
現在では、アメリカでは1年の中でも最大規模のセールが行なわれる日となっており、この日を境に年末商戦に入っていきます。実店舗には多くのショッピング客が押し寄せますが、オンラインショッピングサイトでも大々的なセールが行なわれます。消費者もこの時にセール品を買うことを計画しているため、事前告知も含めて、この日をターゲットに前もって何らかのセールを計画しておきましょう。
またサイトのアクセスが急増する場合や、商品の在庫が一気になくなることもあるため、それも頭に入れて計画しておくのが良いです。
・Cyber Monday: 11月第4木曜日の次の月曜日(サイバーマンデー)
感謝祭の日の次にくる月曜日がサイバーマンデーです。かつては、ブラックフライデーは実店舗に買い物客が押し寄せる日であり、次の月曜日は自宅でゆっくりオンラインショッピングをする人が多かったため、ECサイトでの売上げが急増していました。そのことから、「サイバーマンデー」と呼ばれるようになりました。
現在では、オンラインショッピングサイトであってもサイバーマンデーからセールを実施するのではなく、ブラックフライデーから続けてセールを開催することが多くなっており、「BFCM」(Black Friday Cyber Monday)という単語も広く使われています。「BFCM Sale」のようにひと続きのセールとして認識されており、ブラックフライデーから数日間はビックセールが開催されます。
また年末商戦が始まっていることもあり、この日の後も売上げが増加した状態が続きます。そのため、年末商戦に合わせた商品の補充などは、BFCMだけではなく、この後の時期も見越して行なう必要もあります。クリスマスまでに商品が届く時期、と言うことも意識しておく必要があります。
12月のアメリカ向けショッピングカレンダー
・Green Monday: 12月の第2月曜日(グリーンマンデー)
グリーンマンデーは、eBayが始めたと言われるショッピングキュンペーンで、この日に購入すればまだクリスマスまでにプレゼントが届く、という時期を意識させる12月第2月曜日に行なわれています。
認知度はそこまで高い日ではありませんが、ブラックフライデーやサイバーマンデーで購入機を逃した消費者や、まだまだクリスマスプレゼントを探している消費者など、クリスマス商戦における商機の1つとなっています。
なお、国土が広いアメリカのオンライン通販は、日本のように多くの地域で購入した翌日や翌々日に商品が届くことが一般的ではなく、配送方法によっては購入してから1週間程度待たされることも良くあるため、時期を意識した購入が大切ではあります。
・Free Shipping Day: 12月中旬(フリーシッピングデー)
クーポンサイト「Coupon Sherpa」や「FreeShipping.org」の創立者であるLuke KnowlesとMaisie Knowles夫妻によって2008年に開始されたのが、フリーシッピングデーです。
グリーンマンデー同様にクリスマスのプレゼントが確実に届く時期を目安として、毎年12月中旬に開催されており、「送料無料」と設定した多くの通販サイトが参加しています。近年は大手小売店も参加をしているため、注目度も上がってきています。
クリスマスイブまでに商品が届くことを保証した上で、最低金額を設けずに送料無料とする必要があるなど、多少の参加条件はありますが、クリスマス商戦後半の大きなショッピングデーとしては認識されてきています。
・Christmas Eve: 12月24日(クリスマス・イブ)
クリスマスは年間でも最大の商戦期であり、この日を前に小売店はセールを行ないます。特にクリスマスイブの前日に当たる12月23日は、売上げが大きく伸びる日として知られています。
オンラインショッピングサイトでは、クリスマスセールを開催するのと同時に、サイトのテーマもクリスマスに合わせたものとすることも多いです。
・Christmas: 12月25日(クリスマス)
クリスマスは、連邦政府の祝日であり、アメリカでは独立記念日と並んで最大の祝日の1つです。
この日は家族や友人でパーティをすることも多く、商機でもありますが、単なるセールでは無く、クリスマスをテーマにしたプロモーションを行なうことも意識したいです。
・Boxing Day: 12月26日(ボクシングデー)
ボクシングデーは、元々はキリスト教の祝祭日でしたが、現在では、クリスマス休暇の延長の日として捉えられています。
小売店にとっては、かつてはこの日はクリスマス後のセールを行なうバーゲンの日でしたが、現在では慣習の変化や他にセールの日が増えたこともあり、認知度は落ちています。それでも、クリスマスセール後の年末セールはこの日が開始日として意識されており、「Year End Sale」などを計画するには意識したい日です。
一方で、クリスマス後の返品が多くなる日としても知られており、扱う商材によってはその対策も考えた方が良い場合もあります。
・New Year’s Eve: 12月31日(ニューイヤーズ・イブ、大晦日)
大晦日の日は各地で花火大会やカウントダウンイベントが行なわれ、大人数でパーティもよく開催されます。
小売店では、大晦日のイベントに向けて、前もってその商品を販売するケースが多いです。またこの時期には、1年を振り返った感謝を込めたプロモーションなども行なわれます。新年に向けた商品も意識しておきましょう。
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